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2006年11月14日

アップルストアに“LOHASなミューズ”降臨!カヒミ・カリィ スペシャルライブ【前編】

 秋深まりつつある10月末、アップルストア銀座が、かつてないほど穏やかで神秘的な空気に包まれた――かつては“渋谷系のプリンセス”、そして今や“LOHASなミューズ”として、常に女性たちの憧れの存在であり続ける歌姫、カヒミ・カリィが、ニューアルバム『NUNKI』を引っ提げて、アップルストアに降臨したのだ。

 2006年10月26日、日本で唯一のLOHASな女性誌『MYLOHAS』によるイベント「MYLOHAS MUSIC NIGHT」がアップルストア銀座3階のイベント・スペースにて開催された。シリーズ第2回目のゲストは、音楽だけでなく、そのファッションやライフスタイルでも女性たちに絶大なる影響を与えているカヒミ・カリィ。会場にはシンプルながらもセンスの良い20〜30代の女性を中心に、大勢のファンが駆けつけた。

 『MYLOHAS』編集長の菅野さんの紹介により、心地よい緊張に包まれたフロアに本日の主役、カヒミ・カリィが静かに登場。彼女の繊細な歌声を一片たりとも聴き漏らすまいと、会場はさらなる静寂に包まれる。

 皆が息をのんで見守る中、中央のイスに座り、足を組んだリラックスした姿勢で、まるで子守唄を聞かせるかのように優しくゆったりとハミングを始める。アルバム『NUNKI』のオープニング・ナンバー、「呼読」だ。やがて穏やかなギターの伴奏に導かれ、彼女がフランス語詩の朗読を始めると、まるで森の奥深くへと手を引かれていくような感覚を覚える。彼女の背後のスクリーンには、アルバム制作中に訪れたモロッコの映像が映し出される。光を帯びて徐々に浮かび上がる窓枠。ホテルの一室だろうか。窓の外には砂漠が広がる。異国の風景に幻想的な演奏が重なると、この空間だけが銀座の中心から異次元へと切り離されていくようだ。

 続いて「I'm in the rain」。ささやくような歌声が、キラキラとした優しいギターの音色とたわむれる。印象的だったのは、スクリーンに映し出された映像だ。紺碧(こんぺき)の空を白い雲が切れ切れに覆い、地平線を隔てて、深い赤茶色の大地がどっしりと構えている。これを天地さかさまに映すと、光の効果もあいまって、まるで漆黒の宇宙から地球を至近距離で眺めているかのように見えるのだ。時折かすれるヴォーカルも、大地の凹凸に合わせて緩やかに表情を変えていく映像も、とても心地よく、まるで浅い眠りの中にいるような気分に……。

 その後も、「All is splashing now」「He shoots the sun」と、アルバムの曲順どおりにライブは進む。「All is splashing now」では、背後に赤や黄、緑など色とりどりの花の映像が、オーバーラップで映される。その生命力溢れる鮮やかな色彩に同調するかのように、2本のギターの音色も徐々に熱を帯び始め、その中で彼女の凛としたサビのリフレインが幻想的に響き渡る。

 その後、アルバムから「そのほかに」「Plastic bag」と披露。最後は、この日ギターで参加したプロデューサー大友良英のバンド“ONJO”のナンバー「Lost in the rain」、続いて、同じくアルバムのプロデューサー、ジム・オルークの「EUREKA」と、2曲のカヴァーで締めくくった。

 ヴォーカルとギター2本のみというシンプルな構成ながらも、彼女の歌声を中心に、その小さな声を優しく彩る2本のギター、イマジネーションを喚起する印象的な映像、そして会場の観客1人1人の集中力が溶け合い、1つの濃密な小宇宙を作り出したかのようだった。いつまでもこの穏やかな夢の世界に浸っていたい……そう思わせてくれる特別な夜であった。

 ちなみに、この日使われた映像は、先ごろリリースされたDVD作品『KOCHAB』の映像とは別に、彼女がこの夜のためだけに前夜、夜中までかけて編集したものだそう。この場で見ることができた人は非常に幸運だったと言えよう。

投稿者 YukoTakama : 2006年11月14日 14:01

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