イノベーションジャパン2005
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2005年10月09日

東工大、太陽光励起YAGレーザー発振成功で太陽光利用に活路開拓

 東京工業大学大学院理工学研究科の矢部孝教授の研究グループは、太陽光励起によるYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザーの発振に成功し、自然エネルギーの大半を占める太陽光を有効活用する新しい道を開拓した。

太陽光励起YAGレーザーの中核部品

太陽光励起YAGレーザーの中核部品。中にレーザー媒質のYAG焼結体(四角柱)が配置されている(特許出願中なので、詳細が分からない角度で撮影)

機械物理学専攻の矢部教授は、太陽光励起によってレーザー発振することを、「2005年9月13日に世界で初めて実証し、太陽光のエネルギー活用に新たな手法を確立した」という。

 太陽光励起YAGレーザーの研究開発は、東工大と三菱商事が進めている組織的連携プロジェクトの第一弾の「エントロピア・レーザー・イニシアティブ」プロジェクトの中核を占める要素技術開発である。東工大と三菱商事は2004年7月に組織的な産学連携を目指して包括的な大型連携プロジェクトを始めることで合意し、協定を締結した。製造業企業以外の商社との協定締結として話題を集めた。

 三菱商事は2005年9月から太陽光励起レーザーなどを核とする太陽光利用の新エネルギーシステムを実用化するマルチクライアント型共同研究プログラムを開始する計画を進めてきた。今回の太陽光励起NdYAGレーザー発振の成功によって、クライアント募集に弾むがついたとする。同業種から複数の企業が共同研究パートナーとして参加できる仕組みを提案し参加を呼びかけている。

 矢部教授は、これまで太陽光励起YAGレーザーを水中に丸棒状のレーザー媒質のYAGを配置すると説明してきた。現在、特許出願中で詳細は明らかにできないとしながら、今回のレーザー発信器は「YAGに粉末焼結法による普通の“セラミックス”素材を用い、形状も四角柱として点が革新的」と説明する。今年度中に太陽光励起YAGレーザーで変換効率50%を達成する計画。

 「エントロピア・レーザー・イニシアティブ」プロジェクトは四つの研究テーマで構成されている。第一の要素技術である太陽光励起レーザーに続く、第二の要素技術は、マグネシウムを利用する水素ガスサイクル技術。マグネシウムと水は反応して水素ガスと酸化マグネシウムをつくる。水素ガスは燃やしてエネルギーを取り出す一方、残った酸化マグネシウムは太陽光励起レーザー照射によってマグネシウムに還元し、リサイクルする。

 第三の要素技術は酸化マグネシウムに太陽光励起YAGレーザーを照射して発電するレーザー電気変換技術である。第四の要素技術は、金属表面に太陽光励起YAGレーザー光を高出力で照射すると、レーザーアブレージョンという一種の爆発現象が起こることを利用したレーザー駆動エンジンである。(丸山正明=産学連携事務局編集委員)


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