『ルパン三世』 峰不二子なみのライダーに変身
2005年07月07日

  先日都内某所でちょっとした会合があり、誘われて出かけました。するとそこには、本コラムに関係の深い方々が偶然集まっており、ご挨拶をする運びに。お相手はみな、立派な肩書のお歴々です。話をするうち、突然、「ところでご専門は?」「自動車産業の何について論じるの?」という質問が矢継ぎ早に飛んできて、冷や汗をかいてしまいました。

  というのは、実はこの世界、まだ駆け出しに近いからです。半年前に、カー&バイクのフリーマガジン「ahead」の副編集長になるまでは、ほとんどクルマには興味がありませんでした。免許証は身分証明書代わりの完全なペーパードライバー。それがひょんなことから「ahead」の編集に関わることになり、つい先日、フレンチ・コンパクトカーのオーナーになりました。人生は何が起こるか分かりませんね。

  それまで全く興味がなかったのに、何かのきっかけで興味を持つ。すると、もっと知りたくなる。そして知れば知るほど面白くなっていく。私にとってクルマはそういう対象です。特に今はバイク。バイクはクルマ以上に未知のものだったからです。子供の頃、バイクがいかに危険かを繰り返し教えられ、乗ることなんてもちろんご法度でした。

  ところが、「ahead」に来てみたら、男性スタッフのほとんど全員がバイク乗りです。私がそれまで暮らしてきた環境とは全く異次元の世界がここにありました。営業の人たちは都内各所へ颯爽とバイクで出かけていきます。編集長も普段の足は完全にバイク。こんな環境ですから否が応でも興味を持ちました。

  そういうわけで最近、私にバイク初体験の日が訪れました。とはいってもまずは後部座席です。編集長の後ろで初めてタンデムに挑戦しました。おっかなびっくりで、どうやってバイクにまたがればいいのか、どこにつかまればいいのか、まるで分かりません。ヘルメットのかぶり方、脱ぎ方1つ取っても同様です。最初のうちは髪はぐちゃぐちゃ、化粧は落ちる。参ったな、というのが初印象です。でも、やはり何事にもコツはあるんですね。今では、『ルパン三世』の峰不二子もビックリのカッコよさです(多分)。

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写真提供:ホンダ

  それ以来、私は日に日にタンデムライダーとして成長を遂げています。4月に高速道路の2人乗りが解禁になった翌日には、早くもイタリアの高級バイク、ドゥカティのリアシートで第三京浜道路の高速ツーリングを楽しみ、先日はホンダの大型スクーター試乗会で、軽井沢から浅間山の高原ドライブを堪能しました。そしてついこの間はなんと、富士スピードウェイで開催されたサーキット走行会で、主催者である元プロレーサーでモータージャーナリストの丸山浩さんの後ろに乗せていただき、サーキット走行まで体験してしまったのです。軽井沢のツーリングまでは単に「バイクは気持ちいい乗り物」という認識だったのですが、サーキット走行で開眼しました。バイクにはまる男性の気持ちをかなり理解できたと思います。自分でも別世界の扉を開けてしまったような気がました。直線での加速感、エンジンのうなる音。ヘアピンカーブでは気がつくと路面が目の前に立ち上がってくる感覚。スピードに対する恐怖感よりも、いったいこの先に何があるのか見てみたいという気持ちにさえなったのです。

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写真:小渕喜幸

  こうしてバイクに魅了され始めてみると、気がかりになってくるのが、日本でのバイクに対する偏見です。若者がバイクに魅了されることを防ぎたいという大人の気持ちも分からないではありません。でも、欧米ではバイクが1つの文化として認識されていると聞きます。でも日本では、なかなか文化にまで成熟しない。危険だから安全な乗り方を教えるのではなく、危険だからと禁止してしまう。結局、個人主義の熟成度の問題なのでしょうか。バイクはクルマ以上に乗る側の技術や判断が問われる乗り物です。正しい知識ときちんとした技術を身につければ、新しい世界に飛び立つ相棒になり、それほど危険な乗り物ではありません。ですから、リアシート専門の私としては、乗る場合は運転する人を選ぶことにしています。人格、技術ともに信頼のおける相手でなければ絶対に乗りません。タンデムライドは相手への信頼度を測るバロメーターでもあるわけです。

  話を冒頭の会合に戻しますと、「自動車メーカーにとって参考になるのは、実は家庭において購買を左右している普通の女性の普通の意見だよ」と言われました。なるほど。であれば、全くの素人から始まった私の様々な体験や、取材で出会った人の素直な感想、新鮮な驚きをお伝えすることでも何らかの参考になるのだと思い、気が楽になりました。女性の新鮮な目で見た自動車産業をお伝えしていきたいと思っています。

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コメント
投稿者 我が街の洗車屋さん : 2005年07月07日 08:14

活躍の場を得た若林葉子さんにこれからどんどん発信して欲しい事があります。それは「自己責任」です。日本のバイク行政は「三ない運動(バイクに乗させナイ、買わせナイ、免許を取らせナイ等など)に象徴されている。警察庁の指導で全国的な運動になりその後の状況は若林さんがご指摘の通りの展開になっています。そこで自己責任と言う話になるのですが、バイク免許取得年齢が16歳から18歳に変更になった時点でもう一度議論して欲しかった事なのですが、自己責任です。バイクの免許を取るのも、バイクで事故死するのも全て自己責任という考え方をして欲しいと言う事です。その辺の議論なしに取得年齢が引き上げられましたが、まさに警察庁の(自己)責任逃れの典型です。官僚の責任逃れそのものでした。欧米では16歳頃から免許を与えて、交通マナー(バイクの運転特性や危険性など)を学ぶ機会を与えています。運動機能の高い若年に学ぶ事が大切なのではないでしょうか。
一部若者による暴走行為を取り締まるために一般の優良バイカーを排除してしてしまったのが日本の現状です。いま一度自由主義の体制にする第一歩を踏み出すプログにして欲しいものです。全て「自己責任」の世界です。

投稿者 Nobu : 2005年07月07日 09:10

葉子さん、

とても良いと思います。自然体だし、本当に新鮮ですね。楽しみにしています。 Nobu

投稿者 桑水流 誠 : 2005年07月07日 09:30

若林さんのご意見ごもっともです。日本にはバイク文化がないなんて何回も言い尽くされた言葉です。結論から言いますと、ちゃんとバイク文化は存在すると私は思います。たまたま縁あって私はオーストラリアにて駐在員として働いている日系企業の会社員ですがバイク暦は一応25年になりました。今は2児の父でさほどバイクに時間を割くこともできませんが、最近は古いバイクのレストアにいそしんでおります。こういうオタクな楽しみ方もあるんです。イラストレーターの渡辺和博氏はかなりの乗り物のエンスージアストですが庶民の物言わぬバイク業界、ライダーの事情を見抜いてらっしゃいます。モータジャーナリストとは違ったバランス感覚をお持ちの方ですので、私は氏の意見に関心を持っています。ぜひ取材していただきたいと思います。日本のバイク事情とはおっしゃるとおり。もともとライダーというのは平均的に4輪車の愛好家よりは貧乏で(私も含めてそうです)社会的にも経済的にも弱い立場の人が多いように感じます。一種の4輪コンプレックスの人がいきなり豪華な数百万もするバイクに手を染めたり一種成金的な人もいます。しかし大方の週末ライダーは平均的な物言わぬ庶民そのものであり、その平均的な人たちは平均的な日本人像そのままで、偏見をなくそうとか言う気概もなく、また差ほど問題意識もないと思います。メーカーと行政の言われるがままに受け入れてきたというのが現実ではないでしょうか。最近の高速道路2人乗り解禁に向けての市井の活動は久しぶりに市民ライダーの動きが見えて頼もしく感じましたが、バイクメーカー自体が外国での空前の利益更新に熱中し、国内市場にさほど期待していないのではないですか。もともと高速2人乗りの運動の火種はアメリカのメーカー、ハーレー・ディビットソン社が政府に申し立てをはじめたところから始まったというのも情けない話です。若者のバイク離れ、少子化、ちょっと期待できるのが団塊世代の返り咲きライダー程度。世界一のバイクメーカーを持つ日本国ながら国内事情はその程度で、世論もバイクには興味なしという感じですね。若林さんのこれからの活動に期待しています。バイクを知らない人にいかにバイクの存在を自然に認知させるかという問題も大事なんですが一人のライダーとしての意見を言わせていただければ、敢えて大騒ぎするまでもなく、われわれはマイナーな存在であり、サーファーにはサーファーの文化があるようにバイクにもバイクの文化が日本にもあるのも事実です。ただ、寡黙な人、人知れず個人で展示館を作って仲間内で楽しむ人、週末レースを楽しんでいる人、古いバイクをこつこつ仕上げて楽しんでいる人、最先端技術が凝縮された最新車を楽しんでいる人いろいろいるんです。でもその人たちがどれほど門外漢の普通の人たちに自分たちの存在を解らせようと思っているか、実際、自分たちのアイデンテティを否定されるような社会的動きがあるのかといったような問題がなければそれで良しと思っているのではないかとも思います。しかし、ある程度の社会的アピールをして自分たちの存在を確保する必要はあるのかな戸も思います。早い話、趣味の世界であり、車と違って日本国内においては生活必需品ではないですからね。そういう一部の偏屈者たちも家族の理解は得ているし、今後以前あったバイクブームのようにまた社会の注目を得ると片方で交通、環境(騒音)、バイクの保険料値上げ(日本は先進国の中でも保険料は安い方です)、学校(三ない運動:免許取らせない、乗せない、買わない)いろんな時代と逆行する問題が再燃するでしょうが、バイク文化を云々する前に日本国民の民度というか個人主義が未熟な国ではバイクも音楽もスポーツも何もかも文化として認知されないと思います。理想は都内の繁華街にさりげなくバイク駐車場が設置されていて、そこに4輪の違法駐車が占拠しないような社会でしょうが、高速道路の路側帯を無理やりベンツが走り抜けるような社会ではどっち道先は長いと思います。しかし、皆様のようなジャーナリストの方々が、バランスを持ってライダーとそうでない人たちとの橋渡しをしていただければ時代は少しずつよくなると思います。特に日経新聞系のメディアでバイクが取り上げられるようになったのは日本も進歩したなというのが実感です。がんばってください。
乱筆乱文で失礼しました。
桑水流 誠(クワズル マコト)

投稿者 久保広和 : 2005年07月07日 10:25

バイクに興味がある方が増えて大変良いことだと思います。私自身、学生時代にバイクに乗っていました。最初はスピードを出すための乗り物で、速さを競うものだと思っていました。何度も事故をしましたが幸いにもすべてかすり傷程度ですみました。そこでこころを入れ替えて安全に運転するように出来るだけ目視の量と範囲を増やすように心がけました。すると事故はなくなりました。その上、車を運転する時に安全確認のクセが付き、事故回避能力が向上しているような気がします。
危険な乗り物という印象が強いですし、乗る人の性格も関係して来ますが、バイクは楽しい乗り物であり、安全確認のための訓練が出来ると思えば決して危険だけではないと思います。

投稿者 PmRider : 2005年07月08日 06:50

バイク歴は20年以上ですが、事故は、そのほとんど初期にしか起こしていません(起こす、といっても自爆的な軽いものですが・)
でも、2輪に乗ることで、4輪だけにしか乗らない場合よりも安全な運転ができると思います。
2輪からの視点とか動きは、4輪だけに乗っている人には多分わかりづらい。逆に、2輪に乗っていると、視界が4輪にくらべて高く、オープンなので、例えば車線変更したがっている4輪とか、なんとなく動きの怪しい4輪とかに気づきやすい。そういう自分が4輪に乗っていれば、今度は前を走る2輪の動きの予測ができる。
そういう情報を生かす・生かさない、の人間性もあるのですが、ボクのように常時自動2輪に乗る人は、(故障時の代車とかで)原付に乗るのがとてもこわい。
なぜなら、4輪の運転が原付に対して高圧的にもかかわらず、それを回避する運動性能が原付に乏しいから。
バイクの快適さをアピールする前に、その特性を多くの人が体験することが重要であると認識するべきでは、と思います。

投稿者 もで : 2005年07月13日 10:29

私は4輪しか乗ったことがありません。それは、両親との約束です。父はタクシー会社を経営しており、不本意ですが、多くの事故処理を経験しております。その半数が2輪との事故。ある方は、もげてしまった自分の腕を持って救急車に乗った方もいたそうです。2輪だけには乗らないでほしいと、初めて親に頭を下げられました。その約束は一生守るつもりです。

もちろん事故は両方の責任があります。しかし、2輪優遇の法律には、一般ユーザーである私にも違和感を感じることがあります。私も運転が大好きでプライベートで走り回っていますが、2輪のマナーの悪さは本当に不愉快です。それで当てでもしたら4輪の責任になる。先日は渋滞中(停車中)に当て逃げにもあいました。

もちろん2輪だけが危ない運転をしている訳ではありません。しかし、あまりにもマナーが悪すぎると思います。

現状のマナーの悪さなら、マナーの良い方には申し訳ないのですが「三ない運動」に協力したいと思います。通勤ラッシュ時の国道246号線上り池尻周辺。のろのろ状態の車の間を縦横無尽に走り回る2輪が、途切れることなく走り回っています。4輪は車線変更もできず、2輪同士が正面衝突する状況。ぜひ皆さんにも見ていただきたいと思います。いかに早く4輪の間をすり抜けるか、ゲームのようです。遅い2輪は後方の2輪からクラクションを鳴らされる。…首都圏に住む私には、これがバイク文化だと認識しています。

2輪に偏見を持っているわけではないのですが、優良バイカーとは何でしょうか?たまに4輪と同じように追い越しもしないでマナーよく走っている方もいますが、逆にラインの取りかたや車間の取りかたが分からなかったりで危ないと感じることもあります。何でそんな手前で停車するのか等…。

私も、特に2輪ユーザーに、危険度の認知をもっと持ってほしいと思います。持っていて、あのマナーであれば法律で守る必要はない。自己責任にしてほしいと感じるのは4輪ユーザーのエゴでしょうか?

投稿者 佐藤胤美 : 2005年07月13日 16:18

バイクを楽しまれることは結構です。
欧米の事情も海外経験の永い小生にもよく理解できます。TPOで週末にバイクライドや仲間とツーリングを楽しんだり、オハイオのハイウェーを老夫婦が仲良くバイクライドをしているのも何度か見かけました。
残念ながら、日本では車の間を明らかにスピード違反で
アクロバットをしているライダー、交差点の赤信号を抜けていくライダー、黄色センターラインの外側は対向車線ですが、走行しているライダーなど多いと思いませんか?欧米のライダーは4輪のドライバーのマナーを守って居ましたが。渋滞していても間をすり抜ける様な事は見た事が無い、如何ですか?
台湾をはじめ、アジア諸国はまだまだ経済的にバイク天国で事故が絶えません。
4輪も2輪も急がずお互いに譲り合い交通安全に努める
事が第一です。道路は歩行者を含め皆の利用するものです。くれぐれもお忘れなく

投稿者 森脇 由貴子 : 2005年07月14日 08:30

今月、還暦を迎えました。当然3ナイ運動の代表者のおばさんです。昨年、この歳で運転免許を取り、高速道路代としては20万を越す実績?を積んでおります。色んな事に興味津々の落ち着きの無いおばさんです。そこで奇妙奇天烈な疑問にお答え願います。
バイクの後ろにまたがっている人は、運転者のどこにつかまっているの?若林ライダーさんも書いてくれていませんでした。街を走るお二人さんは運転者の腰に手を廻して、しがみついているようにも見えます。手が廻らない豊な腰周りの方は?いわゆる、安全ベルトは無いのですよね。
カーブで二人が地面すれすれの時、運転手はどんなに重いのかしら?
やっぱりこわそ〜〜。
60年間、自転車の後ろに乗るのさえ恐い・恐いの拒否反応で生きて来ましたが、若林ライダーの命懸けの勇気と、仕事への積極姿勢に痛く感激し、バイクの事も知りたいと思った次第です。バイク知識・最初の一歩の始まりです。
森脇 由貴子

投稿者 k1-k : 2005年07月14日 12:57

当方、2輪、4輪ともに愛用しております。
この両者はともすれば敵対関係として扱われることが多い気がして、どっちも大好きな私としてはすこし悲しい気持ちになります。
双方が相手の悪いところを指摘し合うのではなく、なんとかうまく共生していくことはできないものでしょうかねぇ。
さしあたり、「できることからコツコツと」ということで、身近な2輪乗り、4輪乗りに対して、できる範囲で「啓蒙活動」(笑)をやっております。

>森脇さん
二人乗りで使用することを想定したバイクの多くには、足を乗せるためのステップと、掴まるためのグリップがついていて、後席は、ステップで踏ん張りグリップを握っておく、というのがふつうだと思います。
グリップがついていない場合は、運転者に掴まることになりますが、この場合、両腕でしがみつく、という、若い方々によく見られるやり方は前席の運転に支障が出ますので、本来はやらないほうがいいのです。前席の腰骨を両手でがっちりつかむ、というのがいいようです。最近では、グリップつきのリュックサックやウェストポーチなんかも出ていて、この場合、前席がこれらを装着し、後席がグリップに掴まる、というかたちになります。
また、安全ベルトのたぐいはありませんが、エアバックもどきのようなものは市販されています。一見、ふつうのベストなのですが、衝撃が加わるとエアバッグのようにふくらんで、乗員のカラダを守る、というものです。どれほど有効なのかは知りませんが・・。
参考になりましたでしょうか。


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