知的財産管理技能検定3級 完全対策講座
第12回試験(2012年7月実施)のポイント解説 (1)
第13回・3級本試験(2012年11月11日実施予定)まで、あと約1ヶ月です。知的財産教育協会のHPに掲載されている前回(第12回)の本試験問題は、必ずトライしておくようにしましょう。
前回のエントリにも書いた通り、第11回試験以降、問題がかなり難化しています。第12回は、特に学科試験の難化が顕著であるように感じましたが、本日は、前回の学科試験問題について、留意が必要と思われる問題(前半部分に難問が集中していました)を中心に、正解を導くためのポイントを解説していきたいと思います。
問2
難しい問題ですが、アは「意匠登録を受けることができない意匠」(本書89-90p.)、イは意匠法の保護対象である「意匠」(本書86p.にあるように「・・・視覚を通じて美観を起こさせるもの」であること)に関するもので、創作非容易性の判断基準に関連するものではありません。創作非容易性の具体例を判断できるようにするためには、審査基準(http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/pdf/isyou03/06.pdf)を読んでおくべし、という話になってしまいますが、3級試験では、ア、イは創作非容易性には関連しないことから、正解はウであろうと判断するほうが現実的であると思います。
問3
アは、出願審査請求は「出願日から3年以内」に行うことが可能なので、特許出願と同時に行うこともできます。イは、審査請求は何人も行うことが可能で(特許法48条の3)、この点は以前にも問われているので、本書46p.の余白に「何人も」請求可能、とメモしておきましょう。ウの選択肢が不適切です。
問6
著作権の登録制度については、文化庁のホームページに説明がありますが(http://www.bunka.go.jp/chosakuken/touroku_seido/index.html)、実務上この制度を利用する機会は少なく、かなり難しい問題です。この問題は解けなくてもやむを得ないと思われます。
問8
どの選択肢も表現がややこしいので難しく感じるかもしれませんが、いずれも基礎的な知識で判断可能なものです。アは、周知商標は登録を受けなくても保護される場合がありますが(本書114p.等)、審査を受けずに商標権が発生するわけではありません。イは、使用の意思があることが、商標登録の要件の1つとされています(本書111p.脚注)。ウは、使用により識別力が生じた場合は登録を受けられる場合があります(本書113p.)。尚、最近の出題ではかなり細かい点が問われていますので、本書113p.の図表6-3にあるように、使用により識別力が生じれば登録が可能なのは③~⑤で、①②は含まれていない(識別力が生じていれば、もはや普通名称や慣用商標には該当しないためです)ことにも留意してください。
問9
弁理士の業務について、毎回1問ですが、細かい知識が問われています。余裕があれば、日本弁理士会ホームページの「弁理士の仕事」(http://www.jpaa.or.jp/consultation/role/job.html)の(1)を確認しておくとよいでしょう。
問10
正解であるイの選択肢を適切であると判断するのは容易ではありませんが、アは、属地主義の原則(本書216p.)から考えても外国での使用により登録商標が保護されるのは適切とは考え難いこと、ウは、「社会通念上同一の商標」を使用している必要があること(本書120p.脚注)から、消去法でイを選択することは可能です。
以降は、日を改めて解説します。