知的財産管理技能検定3級 完全対策講座
第20回試験(2015年3月実施)のポイント解説(3)
皆さま、こんにちは!
本日は、第20回試験の実技試験の中からいくつかピックアップして解説致します(問題と解答は知的財産教育協会のHPまで)。
問1~6
特許法第32条は、公序良俗に反する発明は、特許を受けることができない旨規定しています。
問5のアイデア3は、「著名メーカー」という文言や「偽造品」という文言がパッと目に付きますが、偽造品の判別装置ですので、公序良俗違反には該当せず、特許を受けられる発明です。
特許法の保護対象と特許要件を本書39-46p.を読んで再確認しましょう。
問7~12
問9について、「○」、問10について、ウを選択できるよう、著作権法第15条を確認しておきましょう(本書165-166p.参照)。
画像処理ソフトAはプログラムの著作物です。プログラムの著作物の法人著作については、著作権法第15条2項に規定されています。
X社の従業員である甲が、Xにおける職務として開発した画像処理ソフトAの著作者は、画像ソフトAの開発時における契約や勤務規則において著作者の取扱に関する定めがないという設定から、X社となります。
著作者は、著作(財産)権及び著作者人格権を有するので、甲に許諾を得ることなく画像ソフトAのバージョンアップも可能です。
問15
著作権法では、著作物の公平で円滑な利用を担保するため、著作権法第30条~50条において著作権の制限を、著作権法第102条において著作隣接権の制限を定めています。
こうした例外は著作権者の権利を不当に害することがないよう、また、あくまで例外的な措置であるため、厳格な運用が必要とされています。
教育目的での著作物の利用は例外的に認められていますが、学校生活をビデオ撮影したものをネット等で配信したり、DVD等にコピーして配布したりすることは、使用した著作物の著作権者の公衆送信権や複製権を侵害することになりますので、著作権者の許諾が必要になります。
中学生の姿がはっきりとわかる場合には、肖像権や個人情報の問題が生じますが、授業を受けている中学生に著作権又は著作隣接権は発生しないと考えられますので、イが適切です。
問17
著作権法第6条には、保護を受ける著作物が限定列挙されています。
1号:日本国民が創作した著作物(国籍の条件)、2号:最初に日本国内で発行(相当数のコピーの頒布)された著作物(外国で最初に発行されたが発行後30日以内に国内で発行されたものを含む)(発行地の条件)、3号:条約により我が国が保護の義務を負う著作物(条約の条件)です。
昨年、『サルの自撮り写真に著作権はあるのか?』という論争がネットを賑わせましたが、著作物の定義にある「思想または感情」は、人間の精神活動全般を指すと解釈されますので、人間の精神活動に基づくことなく撮影されたサルの自撮り写真は著作物とはなりません。
また、そもそも日本の民法では、人間以外の動物に権利能力はありませんので、著作権の権利主体となることはありません。
同様に、アのアシカが描いた絵画も同様に著作物として保護されません。
因みに、外国の著作物の保護についてですが、著作権の基本条約であるベルヌ条約の場合、我が国は世界の約170ケ国と条約関係にあり、少なくとも先進国といわれる国とは全て条約関係にあると考えてください。
問18
問題の設定と選択肢の内容をよく読んで答えを導き出しましょう。問題設定を間違えてしまっては、正しい答えは導き出せません。
登場する主体は、X社、X社の甲、Y社です。
登場する物品は、ボールペンとペンライトと万年筆です。ボールペンと万年筆とは類似し、ペンライトと万年筆は非類似の物品であると設定されています。
登場する登録意匠は、万年筆C(権利主体Y社)です。
登録意匠Cの権利は、万年筆と類似する物品ボールペンは及ぶのに対し、万年筆と非類似である物品ペンライトには及びません。
よって、イが正解と導き出せます。
さて、第20回試験解説は以上です。
学科試験と実技試験を合計すると、特許法に関する問題が17問、実用新案法に関する問題が1問、意匠法に関する問題が5問、商標法に関する問題が10問、著作権法に関する問題が18問、条約に関する問題が3問、その他不正競争防止法・独禁法・種苗法・弁理士法に関する問題が合わせて6問出題されました。
特許法と商標法と著作権法の問題が合計して45問ですので、全体の75%が特許法、商標法、著作権法に関する問題です。
従って、この3つの法律が全問正解できれば第20回試験では合格ラインに達せます。
上記の3法を中心として対策をし、それ以外の法律については、基本的事項をしっかり身につければ、3級の合格はつかめると思います。
次回試験も間近です。
お忙しい毎日をお過ごしのことと思いますので、本書をお持ちの方は、ぜひ携帯していただいてご活用ください!